見ることの土台を整える 〜原始反射と視覚機能の関係〜
「黒板とノートの視線移動が苦手…」「目で追うのが下手で、読み飛ばしが多い」
そんな子どもたちの“見る力”に、実は“原始反射”が関係しているかもしれません。
この記事では、「見ること」に深く関係する3つの原始反射をご紹介します。
◆ 原始反射とは?
赤ちゃんが生まれつき持っている無意識の反応(反射)で、発達に伴って統合されるものです。
統合がうまくいかないと、学習・運動・感覚処理に影響が出ることがあります。
👁️ 「見ること」に関わる主な原始反射
🔹 緊張性迷路反射(TLR:Tonic Labyrinthine Reflex)
- 関与する視覚機能:上下の視線操作、空間認識、姿勢の安定
- 未統合の影響:頭の位置によって筋緊張が変わるため、視線を上下に動かすことが難しい。姿勢が崩れやすく、見ることに集中できない。
- 例:黒板を見上げるときにのけぞる/本を見ると背中が丸くなるなど。
🔹 非対称性緊張性頚反射(ATNR:Asymmetrical Tonic Neck Reflex)
- 関与する視覚機能:左右の眼球運動、トラッキング、視線の固定
- 未統合の影響:左右に視線を動かすときに、目だけでなく頭ごと動いてしまう。目の動きがぎこちなく、文字の読み取りに支障が出やすい。
- 例:文章を読むときに行を飛ばす/左側から右側への視線移動が苦手。
🔹 対称性緊張性頚反射(STNR:Symmetrical Tonic Neck Reflex)
- 関与する視覚機能:近くと遠くの焦点調整、両眼の協調
- 未統合の影響:視線を近く(手元)から遠く(黒板など)に切り替えるときに、ピントが合いにくい。両目のチームワークにズレが生じる。
- 例:ノートから黒板を見るときに時間がかかる/視線がぼやける感じがする。
🔍 海外の視覚発達専門家の見解からも一致!
米国のビジョンセラピー専門機関「Visual Symptoms Treatment Center」によれば、以下のような視覚的問題と原始反射との関係が指摘されています:
- TLR未統合:視空間認識、姿勢保持、バランスの困難
- ATNR未統合:視線の追従、視覚左右バランスの乱れ
- STNR未統合:焦点切り替え、視覚-運動協応の問題
🌱 さいごに
「見ること」に困難さを感じている子どもたちには、まず“からだの土台”である原始反射の統合状態を見直してみることが大切です。
視覚だけをトレーニングする前に、反射の統合アプローチを取り入れることで、驚くほどスムーズに“見る力”が伸びていくことがあります。