「頭を下げない子」は、下を向きにくい身体なのかもしれません
保育園で、こんな子がいました。
靴を履くとき、足元をほとんど見ません。 靴に足を入れようとはしているのですが、視線は前や上の方に向いたまま。 そのため、靴が左右逆でも気づきにくかったり、かかとが踏まれたまま歩き出したりします。
制作の時間も、手元をじっと見ることが少し苦手そうです。 折り紙を折る時、先生の手は見ているけれど、自分の手元に視線を落とすのが難しい。 座っている姿を見ると、顎が少し上がり、口がぽかんと開いていることもあります。
歩く時は背中が反り気味で、つま先歩きが出ることも。
人や物にぶつかりやすく、少しよたよたして見える場面もありました。
皆さんは、どうしてこうなると思いますか?
A. 先生の話を聞いていないから
B. 靴や制作にあまり興味がないから
C. 不器用で、見てもどうせうまくできないから
D. 頭を下げる・手元を見る姿勢そのものが、体にとって難しいから
私は、こう考えます🌿
私は、Dの「下を向く姿勢そのものが難しい」可能性を考えます。
もちろん、実際にはいくつかの要因が重なっていることもあります。 でも、この子の姿には、
- 顎が上がりやすい
- 背中が反りやすい
- 口が開きやすい
- つま先歩きがある
- 転びやすい、ぶつかりやすい
- 足元を見ずに動こうとする
という、体の使い方に共通する特徴が見えていました。
頭を下げると、私たちの体は少し前へ引っ張られます。 その時、首・背中・骨盤・足が協力して、倒れないように姿勢を調整しています。
頭には、バランスを調整するための前庭系ネットワーク(三半規管、小脳、大脳新皮質などなど)があります。
バランスを調整するには、「重力を感じる」ことが大前提‼️
重力を感じ、どう調整すればいいかも瞬時に体が分かって調整するから、倒れず、転ばずにいられます。
大人は無意識にできるので気づきませんが、子どもの中には、 頭の位置が変わると、体全体のバランスが崩れやすい子がいます。
だから、足元を見ないのは「見ようとしていない」からではなく、 下を見ると自分の体が不安定になるから、無意識に避けているのかもしれません。
「足元を見て!」では届かない時がある
大人はつい、
「ちゃんと靴を見て」 「自分の手元を見て」 「下を向いてごらん」
と言いたくなります。
でも、体の土台がまだ整っていない子にとっては、 それは単なる注意ではなく、難しい姿勢課題になっていることがあります。
見ればできるのに見ない、のではなく、 見るための姿勢がまだ育ちきっていない。 そう捉えると、大人の関わりが変わります。
こんな遊びが助けになります✨
このタイプの子には、 反る・丸まる、上を見る・下を見るという動きを、遊びの中でたくさん経験させてあげたいです。
たとえば、
- ダンゴムシのように小さく丸まる
- スターフィッシュのように大きく手足を広げる
- うつ伏せで手足を少し持ち上げる“スーパーマン”
- 仰向けで膝を抱えて、ゆらゆら揺れる
- 「天井見て〜」「おへそ見て〜」と上下に視線を動かす遊び
こうした遊びは、ただの体操ではありません。 自分の頭がどこにあり、体がどちらへ動き、どう戻ってくるのかを感じる練習になります。
原始反射の視点で言えば、これらは緊張性迷路反射(バランス反射)にアプローチする運動です。
伝えたいこと🌿
靴を見ない子に、 「ちゃんと見なさい」と言いたくなる場面はあると思います。
手元を見ずにハサミで切ろうとする子に、「ちゃんと手元を見なさい」と言いたくなります。
もしかしたら、その子の体は、今まさに “下を見ても大丈夫な体”を育てている途中なのかもしれません。
見ていない行動だけで叱るよりも、 「この子は下を向くと体が不安定なのかも?」 と一度考えてみる。
その視点があるだけで、 子どもへの言葉も、関わり方も、ぐっとやさしくなるでしょう🌷

