音は聞こえているのに、聞き取れない子どもたちへ

APD・聴覚情報処理障害について学ぶ勉強会を開催しました

5月23日、ブレアク・ブレインアクティベート協会では、言語聴覚士の栗野翔先生をお招きして、

「聞こえるのに聞けない
〜APD:聴覚情報処理障害とは〜」

というテーマで勉強会を開催しました。

ラーニング・シーでも、日々の子どもたちとの関わりの中で、

「聞いているはずなのに、指示が入らない」
「何度も聞き返す」
「集団の中だと話がわからなくなる」
「周りがにぎやかだと、先生の声が届きにくい」
「聞いていないように見えるけれど、本当にそうなのだろうか?」

と感じる場面があります。

大人から見ると、つい
「ちゃんと聞いて」
「集中して」
「さっき言ったよね」
と言いたくなることもあります。

でも、もしかするとその子は、
音は聞こえているけれど、言葉として受け取ることに大きな負担がかかっている
のかもしれません。


APDとは?

APDは、Auditory Processing Disorderの略で、日本語では「聴覚情報処理障害」と呼ばれます。

一般的には、聴力検査では大きな問題が見られないにもかかわらず、音や言葉を聞き取り、理解することが難しい状態を指します。

たとえば、

・雑音の多い場所で話が聞き取りにくい
・複数の人が話していると、誰の声を聞けばよいかわからなくなる
・早口の話についていけない
・聞き間違いが多い
・口頭指示を覚えておくことが苦手
・聞いたことをすぐに意味として理解しにくい

といった困り感として現れることがあります。

これは、単に「耳が悪い」という話ではありません。

耳から入った音を、脳がどのように整理し、必要な情報を選び、言葉として理解していくのか。
その過程に負担があると、日常生活や学習場面、人との関わりの中で困りごとが生まれます。


「聞いていない子」ではなく、「聞き取ることに困っている子」かもしれない

子どもが指示を聞き逃したり、返事をしなかったりすると、大人はつい「聞いていない」と判断してしまうことがあります。

でも、子どもの内側では、

音が多すぎる。
どの声に注意を向けたらいいかわからない。
言葉の意味を処理する前に、次の言葉が来てしまう。
聞いた内容を覚えておけない。
疲れてくると、ますます聞き取りにくくなる。

そんなことが起きているかもしれません。

つまり、必要なのは叱ることではなく、
その子がどこで困っているのかを見つける視点
です。


ラーニング・シーが大切にしている視点

ラーニング・シーでは、子どもの困りごとを一つの名前だけで見るのではなく、身体・脳・感覚・栄養・環境・人との関係性の中で、立体的に見ていくことを大切にしています。

APD、ASD、ADHD、学習の困難、発達の凸凹。

それぞれに名前がつくことはあります。
名前があることで、説明しやすくなったり、支援につながったりすることもあります。

けれど、名前をつけることが目的ではありません。

大切なのは、

この子は、どんな場面で困っているのか
どんな条件だと楽になるのか
どんな支援があれば、本来の力を発揮しやすくなるのか

を見ていくことだと考えています。


聞き取りの困難さと、身体の状態

今回の勉強会に関連して、打ち合わせの中では、亜鉛やビタミンB6などの栄養状態、覚醒水準、疲労、HPA軸機能などについても話題が出ました。

もちろん、栄養を摂ればすべてが解決するという単純な話ではありません。

ただ、聞き取りの困難さは、耳だけの問題ではなく、

・脳の情報処理
・注意の向け方
・疲労のたまりやすさ
・覚醒水準
・身体のコンディション
・安心して聞ける環境

などとも関係している可能性があります。

実際に、私自身も20代の頃、居酒屋のようなにぎやかな場所で相手の声が聞き取れなくなる経験がありました。

音は聞こえているのに、言葉として入ってこない。
周りの雑音にかき消されて、相手の話がつかめない。
何度も聞き返すのが申し訳なくなり、わかったふりをしてしまう。

そんな経験がありました。

今振り返ると、聞き取りの困難さは、単に「耳」の問題ではなく、その時の身体の状態や疲労、栄養状態、環境の影響も大きかったのではないかと感じています。


「聞こえるのに聞き取れない」を知ることは、子どもへのまなざしを変える

APDについて学ぶことは、単に一つの障害名を知ることではありません。

それは、

「この子は聞いていない」のではなく、
「聞き取るために、たくさんの力を使っているのかもしれない」

と見方を変えることです。

そして、

「何度言えばわかるの?」ではなく、
「どう伝えたら届きやすいかな?」
「視覚的な手がかりがあった方がいいかな?」
「静かな環境なら理解しやすいかな?」
「短く区切って伝えた方がいいかな?」

と、支援の工夫につなげていくことでもあります。

子どもたちの困りごとは、表面的には「できない」「聞いていない」「集中していない」と見えることがあります。

けれど、その奥には、身体や脳が一生懸命に働いている姿があります。

そこに気づくことができれば、大人の関わり方は変わります。


栗野翔先生の講座を視聴できます

今回の勉強会
「聞こえるのに聞けない
〜APD:聴覚情報処理障害とは〜」

は、視聴のお申し込みが可能です。

APDについて知りたい方、
聞き取りの困難さがある子どもへの理解を深めたい方、
保護者の方、支援者の方、教育関係者の方におすすめです。

お申し込みはこちらです。
https://square.link/u/2EPHKd7k


ブレアクの記事もご覧ください

ブレアク・ブレインアクティベート協会のサイトでは、今回の勉強会の報告記事を掲載しています。

勉強会の内容や、ブレアクとして大切にしている視点について、より詳しくまとめています。

ぜひあわせてご覧くださいませ🌿

https://brainactivate.or.jp/


さいごに

子どもたちの困りごとは、いつも一つの原因だけで起きているわけではありません。

聞き取り。
注意。
感覚。
身体の使い方。
栄養。
疲労。
安心感。
環境。
人との関係。

それらが重なり合う中で、その子の「今」が表れています。

ラーニング・シーでは、子どもたちの困りごとを、単に分類するのではなく、
その子の身体と心と脳の働き全体から見つめ、必要なサポートを一緒に考えていきたいと思っています。

 

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